庄発電所(仮称)建設事業測量・実施設計
業務の概要
当社は、この発電所の調査、測量から土木施設(取水口~発電所~放水路、附帯工等)・鋼製設備(ゲート、除塵機等)の設計、発電所建築(建屋)設計、および水利許可申請書・工事計画書作成まで実施しました。
発電計画の概要
本発電所は、庄川に取水口を持つ農業用水である庄川沿岸用水土地改良区連合の庄川右岸幹線用水路に沿って設置し、当該用水に完全に従属して発電するものである。
本発電所の取水方法については、庄川右岸幹線用水路の既設制水ゲートを利用して、用水路右岸側に取水口を設け、最大5.4m3/sを取水する。
取水後は水槽を経て、水圧管路(延長=約65m)で発電所に導き、有効落差4.5mを得て、最大190kWを発電し、放水路(延長=約34m)により庄川右岸幹線用水に還元放流する。
本設計業務における特徴
本発電所は、農業用水完全従属(本来の水利使用に完全に従属し、流量等に新たな影響を及ぼさない水の使い方のこと)であり、発電後の水は庄川右岸幹線用水路に還元放流する。
本発電所は、農業用水を利用することにより安定した取水が可能であり、一定の発電使用水量の範囲内では高効率で運転が可能な水中タービン水車を採用しています。
ただし、発電使用水量変更時(かんがい期、非かんがい期)は水車の構造上、手動による調整が必要になってきます。
発電所基礎は水中タービン水車を採用したことにより掘削深さが深くなるため、置換えコンクリートの打設及び切梁の設置を行い安定上・構造上ともに安全になるよう設計を実施いたしました。
発電所建屋については、赤レンガ調の外観とし地域の景観に配慮いたしました。
担当者から
2010年度計画時は、環境への意識の高まり等から中小水力発電の計画が本格的に増えてきた時期であり、近傍で参考となるものは「安川発電所(1988年2月運開)」やそれを参考に計画した「2009年度庄川用水合口ダム発電所設置事業 実施設計業務」といったものしかなく、新設計画にあたり水力発電全盛期に携わった諸先輩方の協力が不可欠でした。
また、既設の農業用水を利用した計画であるため、水利使用の許可手続き(河川法)が変遷している時期でありその対応や、既設ゲート等の制御方法や水路系統の維持といった観点からの検討も必要であったため、事例が少ない中での設計で苦慮いたしました。
計画に当たっては、測量、発電計画(一般土木・発電土木・電気)、鋼製設備計画、建築建屋、発電機計画といったさまざまな要素が必要であり、他社に無い当社の技術力が発揮されたと思います。
第一土木部 坂本 勲雄
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