低コスト発電設備実証事業 大家庄地区 発電施設設計
業務の概要
富山県内における農業用水は、多くの遊休落差を有していますが、発電計画の推進に当たって、発電コストの軽減に加えて流下するゴミの処理が問題となっています。
本業務では、この問題点を解決するべく、除塵設備を必要としない新たなゴミ対策を講じた水車の開発のお手伝いをするとともに、開発した水車に適合する発電機の選定と発電規模に応じた発電施設の設計を行いました。
発電計画の概要
本発電計画における最大の課題は、用水を流下するゴミを如何に効率的に除去できるかであり、産学協同で模擬水理実験を重ね、除塵施設が不要となるメインテナンスフリーな水車の開発が行われました。
発電機は、模擬水理実験などを参考にして5.0kWを出力の設定値とし、余裕を見込んで7.5kWの容量を有するものを採用しました。
本設計業務における特徴
①発電機の増速
水車の回転数が60rpm程度と低いため、汎用性の高い発電機の回転数に合うように増速機の設置を行いました。
②汎用的な発電システムの構築
従来の水力発電では、その地点ごとに発電システムを構築する必要があります。しかしながら、これではコストが嵩むため、太陽光発電システムの活用を行いました。
③施工時期と事業採算性
大家庄地区発電所は、2012年7月に運転を開始しました。(総事業費25百万円)
なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が2012年7月から開始され、この発電所が、経済産業省中部支局管内での許可第1号として認可されました。その買取価格は1kW当り35円70銭であり相当高い価格となっています。
担当者から
私の専門分野は土木であったので、電気の設計に当たっては、その知識の習得に苦労しました。
また、発電機や発電システムの構築に当たっては、メーカーの協力が必要なのですが、当初は、協力してくれるメーカーがなく、非常に苦労しました。
この仕事を契機として、土木技術者であれども電気設備に関する知識習得の必要性を痛感しました。
第二土木部 嶋津 昌幸
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