和佐保小水力発電計画実施設計業務他
業務の概要
本業務では、和佐保発電所の事業化を推進するための、現地測量、地質調査、水力設備(水路構造物・附帯設備・機械設備)の実施設計ならびに関係機関との協議資料の作成を行いました。
発電計画の概要
本発電所は、一級河川神通川水系和佐保川に取水えん堤を設置、最大使用水量0.7m3/sを取水し、既設廃滓たい積場の和佐保川切替隋道約2km、高低差約165m内に水圧管路(高密度ポリエチレン管・高圧部はアラミド外装ポリエチレン管)を布設し、たい積場提体下流端部に建設した発電所まで導水、最大出力840kWの発電したのち、和佐保川へ還流する流れ込み式発電所の新設計画でした。水車形式は横軸二射ペルトン水車を用いています。
本設計業務における特徴
①取水堰の検討
取水堰設置箇所は既設の水路幅が狭く、固定堰とした場合、洪水流量の流下能力を確保するためには取水口の大規模な改修が必要となるため、大流量流下時には堰が転倒することにより、流積の確保が可能な倒伏堰を採用しました。また、河川内に堰を設置することから、堰の種類は油の流出の恐れのないSR合成起伏堰としました。
②水圧管路の検討
本発電計画は、水圧管路を約2kmの既設切替随道内に布設するため管布設に際して既設随道形状に合わせる必要があるとともに、随道上下流から管を随道内へ引き込んでいくことが必要となります。高密度ポリエチレン管であれば、管自体に可とう性があるため、曲管・可とう管なしに管自体で隧道に合わせた布設が可能であるとともに、施工性にも優れているため高密度ポリエチレン管を採用しました。
担当者から
本業務においては、発電施設としては使用実績の少ない高密度ポリエチレン管を水圧管路の管種として選定しました。可とう性に優れるという利点が、逆に内圧による膨張につながり、コンクリート巻きたてを行う際の懸案事項ともなりました。最終的にはポリエチレン管と巻き立てコンクリートの間に緩衝材を巻くことで対応しましたが、検討を行う際にはひとつの面だけではなくあらゆる側面から考えなければならないこと実感しました。
また、設計・各種申請・届出において、発注者である神岡鉱業様、電気機械メーカー等、多くの協力・連係をいただきながら設計を進める必要があるとともに、発電所の設計を進めるためには、土木分野以外の多くの知識の必要性を痛感しました。
第二土木部 設計第四グループ 山本 規人
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